親知らずは必ず抜くべきなのか?抜歯が必要なケースと判断基準とは

「親知らずは抜いたほうがいいの?」「痛くないのに抜歯が必要なの?」
歯科医院で親知らずの話を聞き、このような疑問を持つ方は少なくありません。
親知らずは、すべての人が必ず抜かなければならない歯というわけではありません。
しかし、生え方や周囲の歯の状態によっては、むし歯や歯ぐきの炎症などのトラブルの原因になることもあります。
特に親知らずは、お口の一番奥に位置しているため歯ブラシが届きにくく、清掃が難しい歯です。
そのため、生え方によっては知らないうちに問題が進行していることもあります。
大切なのは、現在の症状だけでなく、将来的にどのようなトラブルが起こる可能性があるのかまで含めて判断することです。
そこで今回は、親知らずの基本的な知識とともに、抜歯が必要になるケースや判断のポイントについてわかりやすく解説します。

中村 拓人院長/川口 寛史院長
医院名:駒沢パーククォーター歯科・矯正歯科所在地: 〒154-0011
東京都世田谷区上馬3丁目18−7 駒沢パーククォーター2F
親知らずは必ず抜く歯ではありません

親知らずは、必ずしもすべて抜歯が必要になる歯ではありません。
歯の向きや位置、周囲の歯ぐきや骨の状態によっては、問題なくそのまま使える場合もあります。
たとえば、次のような状態であれば、抜歯を行わず経過観察となることがあります。
・まっすぐ生えていて上下の歯がきちんとかみ合っている
・歯磨きができ、清掃状態を保てている
・むし歯や歯周病がなく、歯ぐきに炎症がない
・顎の骨の中に埋まっているが、周囲の歯や骨に影響がない
このような場合には、すぐに抜歯を行う必要はなく、定期的にレントゲンなどで状態を確認しながら経過を見ることがあります。
ただし、親知らずはもともとトラブルが起こりやすい歯でもあります。
歯列の一番奥に生えるため、顎のスペースが足りずに斜めに生えたり、歯ぐきの一部に埋まった状態で生えてきたりすることが少なくありません。
このような状態では、歯ブラシが届きにくく、細菌がたまりやすくなります。
その結果、むし歯や歯ぐきの炎症などの問題が起こることがあります。
そのため、親知らずは現在の症状だけでなく、将来的なリスクも考えながら、抜歯の必要性を判断することが大切です。
智歯周囲炎とは?親知らず周囲に起こる炎症

親知らずに関連するトラブルの中でも、特に多いものが「智歯周囲炎」です。
これは、親知らずの周囲の歯ぐきに炎症が起こる状態を指します。
親知らずは斜めに生えたり、歯ぐきの中に一部埋まった状態で生えてくることが多くあります。
このような生え方では、歯と歯ぐきの境目にすき間ができやすく、そこに食べかすや細菌がたまりやすくなります。
細菌が増えると歯ぐきに炎症が起こり、腫れや痛みなどの症状が現れるのです。
智歯周囲炎では、次のような症状が見られることがあります。
・親知らず周囲の歯ぐきの腫れ
・噛んだときの痛み
・口が開けにくい
・のどの奥の違和感
・発熱やリンパ節の腫れ
炎症が軽い場合には、洗浄や消毒などの処置によって症状が落ち着くこともあります。
しかし、同じ場所で炎症を繰り返す場合には、原因となっている親知らずを抜歯することで再発を防ぐことが検討されます。
親知らずの抜歯が必要になる3つの代表的なケース

親知らずの抜歯が必要になるケースは、単に「親知らずだから」という理由ではありません。
ポイントは、周囲の歯や歯ぐきにどのような影響が出ているか、また将来的なトラブルの可能性があるかどうかです。
ここでは、親知らずの抜歯が必要になることが多い代表的な3つのケースを紹介します。
1.炎症を繰り返しているケース
親知らずの周囲の歯ぐきが腫れる「智歯周囲炎」は、抜歯のきっかけとしてよく見られるトラブルです。
特に、親知らずが半分だけ歯ぐきから出ている場合は、歯と歯ぐきの境目に汚れがたまりやすく、細菌が増えやすい環境です。
その結果、歯ぐきの腫れや痛みが起こり、炎症を繰り返すことがあります。
最初は軽い腫れや違和感でも、繰り返すうちに炎症が強くなることがあるのです。
痛みが強くなったり、口が開けにくくなったりする場合には、原因となる親知らずを抜歯することで再発を防ぐことが検討されます。
2.親知らずや手前の歯にむし歯・歯周病が及んでいるケース
親知らずは一番奥にあるため歯磨きが難しく、汚れが残りやすい歯です。そのため、親知らずそのものにむし歯ができるだけでなく、手前の歯との間にむし歯が発生することがあります。
また、歯ぐきの炎症が進むことで歯周ポケットが深くなり、歯周病が進行する原因になることもあります。
特に、親知らずの手前の歯(第二大臼歯)は、食事の際の咀嚼(そしゃく)を支える重要な歯です。
この歯までむし歯や歯周病が進行してしまうと、お口全体の健康に大きな影響を与える可能性があるのです。
そのため、手前の歯を守る目的で、親知らずの抜歯が選択されることがあります。
3.横向きや斜めに生えているケース
親知らずは、まっすぐ生えるとは限りません。
顎のスペースが足りない場合、横向きや斜めに生えてくることがあります。
このような場合、親知らずが手前の歯を押すような状態になることがあります。
すると、歯と歯の間に汚れがたまりやすくなり、むし歯や歯周病の原因になることがあるのです。
また、歯ぐきの中に一部だけ埋まった状態の親知らずでは、歯と歯ぐきの境目に細菌がたまりやすく、炎症を起こす原因になることもあります。
このように、横向きや斜めに生えてきた場合や、歯ぐきに埋まった場合は、症状が強く出ていなくても、将来的なトラブルを防ぐ目的で抜歯が検討されることがあります。
症状がなくても相談したい2つの代表的なケース

痛みや腫れがないと、つい受診を後回しにしてしまいがちです。
しかし親知らずは、症状が出る前から問題が進行していることもある歯です。
見た目に変化がなくても、歯ぐきの内側で炎症が進んでいたり、手前の歯にむし歯ができていることもあります。
実際に、違和感を覚えて受診したときには、すでに手前の歯まで影響が及んでいたというケースもあります。
次のような状態が見られる場合は、症状がなくても一度、親知らずの状態を確認しておいた方がよいでしょう。
1.斜め・横向きに生えているケース
親知らずが斜めや横向きに生えていると、歯と歯の間に食べかすや歯垢がたまりやすくなります。
奥にある歯のため歯ブラシが届きにくく、セルフケアだけで清潔を保つのが難しいことも少なくありません。
見た目に大きな症状がなくても、レントゲンなどで確認すると、手前の歯に負担がかかっていたり、炎症が起こりやすい状態になっていたりすることがあります。
2.一部だけ見えていて磨きにくいケース
歯ぐきから一部だけ見えている親知らずも、トラブルが起こりやすい生え方です。
食べかすや細菌が入り込みやすい一方で歯ブラシが届きにくく、歯ぐきの炎症(智歯周囲炎)を繰り返すことがあります。
常に痛いわけではなく、落ち着いているときと痛むときが繰り返される場合は、自己判断せず歯科医院で状態を確認することが大切です。
抜歯せず経過観察になることもあります

親知らずは、必ずしもすべて抜歯しなければならない歯ではありません。
上下の歯がしっかり噛み合っていて、まっすぐ生えており、歯磨きによる清掃も可能で、むし歯や歯周病、歯ぐきの炎症が見られない場合には、経過観察という選択になることもあります。
無症状で病変のない親知らずまで一律に抜歯するのではなく、状態を定期的に確認しながら様子を見るのが大切です。
ただし、経過観察は「そのまま放置する」という意味ではありません。定期検診で状態を確認し、必要に応じて対応することです。
親知らずの周囲の状態は時間とともに変化することもあるため、変化を見逃さないためには定期的な確認が大切です。
定期検診でお口全体の状態を確認し、必要に応じてレントゲンなどの検査を行い、治療のタイミングを検討していきましょう。
親知らずの抜歯は検査をもとに判断します

親知らずを抜歯するかどうかは、歯科医師が検査結果をもとに総合的に判断します。
お口の中の状態やレントゲン画像などを確認しながら、歯の向きや周囲の骨の状態、神経との位置関係などを詳しく確認します。
特に下顎の親知らずは、顎の神経との距離が近い場合もあるため、必要に応じて歯科用CTなどの検査を行うことが重要とされています。
これらの検査から得た情報をもとに、抜歯の必要性や処置の方法について丁寧に説明を行い、患者様と相談しながら治療方針を決めていきます。
抜歯が必要となった場合

抜歯が必要になった場合は、できる限り患者様の負担を少なくするための配慮を行いながら処置を進めていきます。
処置後は、1〜2日ほど痛みや腫れが出ることがありますが、多くの場合、腫れは数日から1週間ほどで落ち着くとされています。
術後の痛みや炎症を抑えるために、痛み止めや抗生物質などのお薬を処方することもありますので医師の処方どおりに服用してください。
服用方法や注意点についても事前に説明を行い、安心して術後を過ごしていただけるようご案内します。
また、出血や腫れを強めないよう、入浴や激しい運動、飲酒などについての注意事項も含めて丁寧にご説明します。
親知らずが気になる場合は歯科医院で相談を

親知らずは、生え方や位置によってお一人お一人で状態や治療法が大きく異なる歯です。
問題なく使える場合もあれば、むし歯や歯ぐきの炎症など、周囲の歯に影響を与えることもあります。
そのため、「必ずしも抜く歯」と決めつけるのではなく、現在の状態や将来のリスクを踏まえて判断することが大切です。
「抜いたほうがいいのか知りたい」「違和感があるけれど様子を見ている」という方は、まずは一度歯科医院で状態を確認してみるのがおすすめです。
検査によって親知らずの位置や状態を把握し、必要に応じて適切な治療についてご提案いたします。お気軽にご相談ください。




